女子中学生になりたい。

昨日今日と風邪気味で喉が痛く、風邪薬を飲んで寝込んでいた。
だが、風邪を引いていてもジリオンは欠かさず観賞する。だって公開期間が8日までだし。
早く全部見なければ……。

夜になって具合もよくなったので、晩飯を食ってから正月で帰ってきていた弟を常盤台まで車で送って行った。
弟を常盤台の駅で降ろす。
せっかくここまで出てきたので近くに住んでいるオオツカ師に連絡。さっさと会社が終わって家にいるということだったので二人で連れ立ってドライブに出かけたのだった。

首都高を一周まわり、帰ってきて午後11時過ぎ。
オオツカ師がなんとなく運転したいというので彼の運転で和光周辺をうろうろドライブ。
俺は年末の部屋の整理で出てきた高校時代に買った坂本真綾のCDをなんとなく流す。

つーかマーヤたん声カワエエわぁ~。

などと高校時代を思い出しながら助手席でニタニタと過ごす。う~ん、懐かしい。
うむ、師にはあきれられるかと思いきや。

「いや、この子の声カワエエわぁ~

と、師もわかってくれたようだった。
とゆーわけで夜中の和光周辺を男二人で少女趣味な音楽に脳を侵されながらミッドナイトドライブ。
で、マーヤタンの声にいい塩梅にやられ始めたころオオツカ師が

「つーか一度女子中学生になってみたくね?」

とのお言葉。その瞬間、俺は神の声を聞いたと思った。
いや、以前から漠然と感じていた欲望を師が今、言葉として目の前に提示してくれたのだ。

うお~! 女子中学生! なりたいなりたい!!
少女漫画みたいな女子中学生になりた~い!
「チコクチコク!」 とか言いながらパン咥えて登校して~!
部活とかして~! しかも学級委員とかやりて~!
学級会でふざけてる男子に
「もう、もっとまじめに考えてよ!!」
とか注意して~!!
友達の女の子と勉強会して~!!

と、ありとあらゆる妄想がまるで三原山の大噴火の如く溢れ出し、二人して猛烈に興奮してしまったのだった。
30前にした男二人、深夜0時も回り、一通り、そんな妄想で盛り上がる。

いや、素晴らしい夜だった!

途中で人一人はねても気づかないであろう猛烈な盛り上がりであった。もしほんとにはねてたら警察にどう言い訳するんだろうか……。

「あの、女子中学生が………いえ、脇見運転です

と警察に弁明する30前の男二人が目蓋の奥に浮かんだのだった……。