妄想大爆発。

2泊3日で島根の親の実家に法事に行き、今日帰ってきた。
そしてその足でなぜか漫画喫茶に行ってしまった。
旅先で買ったマンガ本の続きを読もうと思ったのだがお目当てのものが無く、以前『映画秘宝』で紹介されていた『ルサンチマン』を手にした。
つーか『映画秘宝』で紹介されている時点でろくなもんでないことは確定なのだが、読んでみて実際、

ほんとにろくでもないモンだった。

思わず時間延長してラストまで読み倒してしまった!

2015年の未来。
印刷会社の工場で働くハゲでデブでチビの三重苦にあえぐ我らがヒーロー素人童貞で迎える30歳の誕生日に超ハイテクバーチャルリアリティー恋愛ゲームに出会うエピソードから物語は始まる。
そのゲームをプレイしているのは同じ苦行に身を置き更に真性童貞でしかも貯金を切り崩して生活するプーである親友。
初めは、「そんな仮想現実ハマるなんてダメ人間じゃないか!!」と否定する我らがヒーローであったが、お試しプレイであっさり陥落、結局ゲームに必要な装備一式を有り金60万叩いて一括購入。
ゲームに登場するキャラクター『月子』にあっさり惚れてしまうのだった。

つーか台詞の一つ一つが気持ち良いほどダメ過ぎで素晴らしかった。
「もはや俺たちには現実ではなく、仮想現実こそ現実なのだ」
現実に逃げ場のなくなったダメ人間には仮想現実に逃げ込むしかない、という親友の主張に心の折れた我らがヒーローはついに「仮想現実サイコー!!」と、開き直ってしまう。

ああ、できることならオレがそうしてしまいたいッ!!

だって、ねぇ、面倒な人間関係やら生活に終われることもなく、自分の理想の世界でかわいい女の子とニャンニャンするだけで良い世界なんて、うらやましいことこの上ないじゃないか!!
と、とってもステキな話が展開していくワケなのだが、色々有った後、

だが、そんな30オトコになんと現実世界の女が!!

そして、最後に仮想現実の女か現実の女、選ぶならどっち?という、核ボタンのスイッチにも似た究極の選択がッ!! そして我らがヒーローは最後に核のスイッチを押してしまうのである!!

ラストは正直な話、バットエンドである。作者は「ぎりぎりのハッピーエンド」と主張しているが我らがヒーローはどちらの女も失い、職も失い、すべてを失う。

だが、救いはある。
捨てられた女が15年後、一人きりになった我らがヒーローに一筋の光明をもたらす。
そこで物語は終わる。

いいかッ!! 20代も半ばを過ぎ、彼女の一人もなく、うだつも上がらない世の中の男共よッ!!

読んで共感せよッ! そして泣けッ!!

そしてそれ以外の男共よッ!!

お前たちなんて死んでしまえッ!!





・・・・・・コレがルサンチマンなんやね。

んでラストの後書きに作者のネタばらしがあるのだが、
過去作者は作中に登場する印刷工場に実際に何年も勤めていて、しかもまったくモテず、
劇中の主人公と同じように手製のベットで昼休み中に惰眠をむさぼり、そのベットでありとあらゆる女の子にまつわる妄想をし続けていたのだという!
登場人物達の仮想現実の女の子達に対する身もだえもせんばかりにウラヤマシイ行動の数々もそこで生み出されたものだとこと。
そしてその当の作者は連載を終えた時点で出版社から渡された準備金300万を全て使い切り、本が売れずに印税収入が入らなければ木の皮を食って糊口をしのぐ生活が待っているのだという。

これぞ、男子の本懐であるッ!!