『消えた女』を読む。

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とうとう藤沢周平の『消えた女』を読み終わった。

感想。酷い話でした。

いや、つーか面白かったです。面白かったのは確か。
ただお江戸を舞台とした時代劇=心あたたま~る人情物なんて思ってもらっちゃあ困る。
藤沢周平の『人情』って奴は人間の良い悪いもひっくるめた全ての感情における『情』なわけであって、そんじょそこらのお涙頂戴人情物だなんて考えてもらっちゃあ迷惑だってモンだ。
だってこの小説、紛れも無いハードボイルドなんだからな

心に傷を抱えた一匹狼が己の矜持を胸に卑劣な巨悪に挑むのである。

だが、そこは藤沢周平のこと甘っちょろい「男のロマン」なんかも全て吹っ飛ぶ。
そりゃあまぁ、ゆすり、たかり、傷害、殺人、強姦、ありとあらゆるバイオレンスが徒党を組んでオンパレード状態ですよ。しかもそこには一つとして救いがあるわけでもない。
ラストは消えた女を探し出しめでたしめでたしなのか? 探し出した女はもはやボロ雑巾なんですが。
そんなグログロドロドロした話なのに藤沢周平はなぜか読めてしまうんだよなぁ。
話自体はすこぶる面白いし。

つーかどうでもいいのだがARIAと平行して読んでいたので余りにも酷すぎる落差にくらくらしてしまいました。
なにやらARIAと消えた女のストーリーが混線しているような……。
ええっと、アカリはかどわかしにあって女郎屋に売り飛ばされた挙句、ボロキレになるまで客を取らされるんだったでしょうか?
イカはお上のお役人様に手篭めになった挙句、発狂して男狂いにのめりこんだんだったでしょうか?

結論、いや~、ARIAこえ~。(間違い)