バイト『あがり』。

本日バイト最終日。

昨日までの足の裏の痛みを鑑みて、少しでも足へのショックを和らげる為、ブ厚いスキー用靴下を投入。
この作戦が図に当たり、見事痛みをだますことに成功。無事、仕事を投了したのであった。

五日間の仕事を終え、感想としてはホッとしたというのが正直なところだろうか。

朝の早さと足の痛さ、そして慣れない肉体労働での残業と、途中で断念しかける要素には事欠かなかったのだがどうにか耐え忍ぶことができた。
これというのも「まぁ五日間なら鼻つまんで息止めてりゃ終わる」という気持ちと、更に仕事量の多さに「俺がいないと他の人たちが困る!」という義務感に駆られたということ、二点が大いに挙げられよう。

後者に関しては実際に他の従業員達が連日深夜まで働いているのを目の当たりにしたことと、更には一日の仕事が終わった後、自分のような派遣の人間の棟梁格のおじさんが「明日も頼むよ! ホントに頼むよ!!」やたらすがりつくような視線で哀願していたのがやたらインパクト強かったのだった。

そりゃ、人間ここまで頼りにされちゃ、どうにかせにゃならんでしょ。

それだけこの時期は工場にとって重要な期間で、ここでの失敗は工場と契約を結んでいる派遣会社自体の信用問題にもかかわりかねない重要事だったのだな、と今になって思う。

実際、役に立っていたのか、足を引っ張っていたのかは良く分からんが。

というのもかくして、体力に大して自信があるわけでもなく、これといったスキルがあるわけでもない自分を配属先の従業員達が指導してくれるわけなのだが、当然だがみんながみんな愛想がいいというわけでもない。
どうせ働くならみんなの役に立った方が良い。
笑顔で話しかけてくれる人からはとりあえず『俺の事を役立たずだとは思っていないな』と感じ取ることができる。だが黙り込んで黙々と仕事に没頭するだけの人は俺をどう思っているのか分かろうはずも無い。仕事をしながらその点で若干の不安を感じていた。

今日もバイト君の俺は従業員の人達よりも早くに仕事を終えた。
五日間、短い間だったがお世話になった配属先の従業員達にお世話になったお礼の挨拶をして回った。
その時、この五日間ずっとぶすっとしていて会話すら交わさなかった従業員の一人がぼそりと「お陰でだいぶ助かったわ」と言って笑顔を見せてくれたのが救いになった。


まぁ、何がいいたいかというと・・・・・・。
自分の為だけには仕事はできないんだなぁ、と。人から感謝されるからこそ仕事はできるんだなぁ、と。今更ながらも改めて感じたのであった。




まぁ、ウチの店の店長みたいに口先だけでお礼ばかり言って、とにかく人を働かせようとする人間もいるわけだが・・・・・・。